政府機関のIT調達案件 「入札の基本戦略」

1.はじめに


 本稿は、10年以上にわたり政府機関のインハウスコンサルとして業務支援して来た経験をもとに、IT調達案件に入札する際の基本的な進め方、応札する際のポイントについて取りまとめたものです。システム会社やITサービス事業者の方々、公共セクターの案件担当者の参考になれば幸いです。

2.政府の調達に対する考え方


「政府は、行政内部の効率的な事務処理や国民等への質の高い行政サービスの提供を図るためにも、情報システムを有効に活用していく必要があり、そうした中で、当該情報システムの調達は、便利で効率的な電子行政を実現するための重要な手続と位置付けられる。・・・(中略)・・・情報システムに係る政府調達に当たっては、情報システムにおける業務処理や技術仕様のブラックボックス化のリスクを極力排除し、いわゆるベンダーロックインを招くような調達を回避するとともに、情報システムの信頼性・セキュリティの確保に留意しつつ、ハードウェアとソフトウェアとの柔軟な組合せ、情報システム間の円滑な相互運用等を最小限のコストで可能とする戦略的な調達を行う」(情報システムに係る政府調達の基本指針/総務省)と定義されています。
 特に、調達の原資は我々国民の税金であるため、調達時は、その公平性、透明性の確保が最も重要事項として考慮されます。

3.入札方式の種類


 入札方式は7種類あります。方式によって特色があるため、自社の入札方針によって検討する必要があります。

入札方式 説明 応札条件等
一般競争入札             (総合評価落札方式) 入札書に公表された評価基準に従い、公募により提出された入札価格及び技術提案書から総合的に評価、落札者を決定する方式。 資格要件を満たす事業者
一般競争入札          (最低価格落札方式) 調達側が取り決めた予定価格内に収まった事業者が落札する方式。 資格要件を満たす事業者
指名競争入札       (最低価格落札方式) 調達側が指名した複数事業者が応札する方式。 調達側が指名した事業者
一般企画競争 提出された企画書を評価し、事業者を決定する方式。 資格要件を満たす事業者
指名企画競争 調達側が指名した複数事業者から提出された企画書を評価する方式。 調達側が指名した事業者
公募 応札希望事業者を公募し、期間内に事業者が現れない場合は特命随意契約等へ移行する方式。 資格要件を満たす事業者
特命随意契約 調達側が予定価格を算出し、事業者から見積もりをとって契約を行う方式。 資格要件を満たす事業者

4.入札参加資格


 官公庁における入札に参加するためにには、事前に「全省庁統一資格」(https://www.chotatujoho.go.jp/va/com/ShikakuTop.html)を事前に申請し、資格を得ておく必要があります。一度、資格を獲得すればおよそ3年間、官公庁の調達案件へ入札できます。

 統一資格は、企業の規模によって等級と呼ばれるA~Dに区分されます。公示される案件も、業務の規模、難易度、複雑さ等によって入札が制限されます。入札案件は、原則として以下の通りとなっていますが官公庁の案件によって異なる場合があります。

等級 参加が可能な入札の案件額
A 3,000万円以上
B 2,000万円以上3,000万円未満
C 400万円以上2,000万円未満
D 400万円未満

例えば、D等級の企業がB等級の調達案件に入札したくとも入札できません。この場合は、B等級の企業と事業体を形成(調達仕様書で条件面の確認は必要)する等、別の戦略を立てる必要があります。

5.入札プロセス


入札は概ね以下のプロセスで進められます。

①案件の公示 ; 調達に係る資料提供招請、仕様書案に対する意見招請、入札公告は官報https://kanpou.npb.go.jp/)により掲載されます。当該官公庁の調達ページからダウンロード可能な場合、入札説明会への参加者にのみ配布される場合等、様々あるため、注意が必要です。

②入札書の提出 ; 入札書の提出は官報及び入札説明書で指示されている日時、場所に入札者(代理人を含む)が技術提案書及び入札書を持参、または郵送します。

③開札 ; 開札は入札者(代理人含む)立会いのもと担当職員による開札会で実施されます。

④落札者の決定 ; 落札者の決定は、予定価格の範囲内で最も低い価格で入札した入札者を落札者とする最低価格落札方式、又は当該入札における価格及びサービスの機能・性能の両方を評価して入札者を決定する総合評価落札方式等により行われます。なお,当該調達に係る落札方式については、官報及び入札説明書に明示されています。

⑤落札決定の通知等 ; 政府調達協定に係る若しくはそれに準ずる調達で一般競争又は指名競争に付した場合において落札者を決定した場合、その翌日から7日以内に落札決定したこと、落札者の住所、氏名、落札金額を落札者とされなかった入札者に書面により通知されます。

6.効果的な入札戦略


 多くの事業者が関心を示すシステム案件であるほど、落札することは簡単ではありませんが、経験上、効果的な進め方はあると考えています。

来週以降、順を追ってみていきます。